パビリオン山椒魚

監督の冨永昌敬の出身地は僕と同じ愛媛。ということで、別の作品を見るときよりも少し自意識を過剰にして鑑賞した。
ところが、あまりにもデタラメなシナリオと演出によって、チンケな自意識はあっという間に吹っ飛んだ。正直はじめの20分くらいまではとても退屈だった。たぶん、この映画のエントロピー全開の世界観についていけていなかったせいだと思う。しかし、退屈な時間も20分を過ぎたあたりからレントゲン技師の飛鳥芳一(オダギリジョー)と二宮家の四女、高校生の二宮あづき(香椎由宇)の出会いを期に、この作品の持つ独特なリズムに僕のが波長が尻上がりにシンクロしていく。
その要因はずばり、オダギリジョーの「気持ち悪いけどカッコいい」、という両義的な演技と、その両義性をすべて受け止めてしまうような香椎由宇の存在、が見事にマッチングしいたからではなかろうか、と僕は思っている。あと、菊地成孔の音楽が光っていたこのもその要因のひとつかもしれない。デタラメな世界観と見事に調和した音楽。
一言で言ってしまえば、キャラクターと音楽が全面に出ていた映画、だったのではないか。わからんけども。
メモ
http://cinemaniac-eiganikki.cocolog-nifty.com/weblog/2006/10/post_6bbc.html(ノリきれなかった人とノリきれた人の差)